多くの人が一度は持ってみたいと憧れるエルメスのバッグ。しかしエルメスのような人気ブランドには、偽物のコピー品が出回っているのも事実です。
2020年の夏には、エルメスの元従業員ら10人が質の良いレプリカを製作・販売したとしてフランスで起訴されたと記事になりました。当時の記事抜粋によると、
「この集団は2011年から14年の間に『バーキン』の模倣品約148個を香港を中心としたアジア地域の顧客に販売し、400万ユーロ(約4億8000万円)以上を得たという。購入した顧客は模倣品だと知らずに購入した」と、購入者はコピー品であることを知りませんでした。
引用:WWD JAPAN
本記事では、素人にも見分けのつくエルメスの偽物チェックポイントを紹介し、偽物を買わないためにはどうすればよいのかを教示していきます。ぜひ参考にしてください。
最近の偽物は見抜くのが難しい
エルメスの偽物は、他のブランドコピー品と比較しても、高品質な素材と精巧な作りによって年々見分けがつきにくくなっています。本物との見分けがつきにくいのは、以下2つの理由が考えられます。
- 本物の流通量が少ない
- 偽物なのにコストをかけて作られている
本物の流通量が少ない
エルメスといえば、アイコン的存在にもなっているバーキンや『ケリー』など、高級バッグの代名詞ブランドとして知られています。
それらのバッグに使用されている皮革の品質の良さは、誰もが知るところでしょう。そして高品質で丈夫な皮革は、当然入手できる量も限られてきます。
素材の入手しにくさに加え、バーキンなど手作業の工程が多いエルメスのバッグは、作業工程に多くの時間を費やし、大量生産ができません。こうした理由から、本物のエルメスのバッグは流通している量がそもそも少ないのです。
偽物なのにコストをかけて作られている
またエルメスの偽物によく見られる傾向として、偽物でありながらコストをかけて精巧に作られているという特徴があります。
エルメスはそもそもの流通量が少なく、正規価格も高めに設定されているため、偽物でも時間をかけて制作し、採算をとることが可能です。
さらに販売数が圧倒的に違う他のブランドと比較し、数が少ないために偽物に対するチェックも厳しくなります。しかし『スーパーコピー品』と呼ばれる偽物も存在し、本物と見間違えるくらいに偽物のクオリティが上がっているのも現実です。
ここを見ればわかる!偽物エルメスチェックポイント
こちらでは、バーキンなど主にバッグの細部を例に挙げ、偽物エルメスかどうかを見分けるための5つのチェックポイントをご紹介します。
- スタンプ刻印部分
- 底面の鋲
- 皮の表面の溝
- 角の縫い目
- 皮に埋め込まれた鋲
スタンプ刻印部分
バッグや財布などのエルメスのすべてのレザー製品には、ブランドネーム『HERMES PARIS – MADE IN FRANCE』が刻印されています。
本物のブランドネームは、型押しされたロゴにインクを流し込んだもので、にじみやブレもなく、はっきりと読み取ることが可能です。
しかし偽物の場合は、型押しされておらずロゴをプリントしただけのものも多いため、文字の輪郭が潰れているケースが見られます。
ただし本物でもインクがにじんでいることもあり、また最近は刻印のコピー精度もあがっているため、これだけで偽物と判断するのは困難かもしれません。
底面の鋲
次に、バッグの底面に付いている鋲を確認してください。鋲はバッグが直接床に触れて革の表面を傷つけることがないように角の4か所に設置されています。
金具である鋲に施されている細工などは、細かいところながら偽物エルメスを見分けるための大事なポイントになるので注目です。
偽物エルメスの鋲は、取り付け方がねじ込み式になっていることがあり、安っぽい印象を受けるかもしれません。そしてもっとも大事なのは、鋲にきちんと面取り加工がされていることです。鋲の表面処理が甘い場合は、偽物を疑ってもよいでしょう。
皮の表面の溝
高品質なレザーを使用しているエルメスですので、皮革の表面からでも偽物かどうかを判断することが可能です。
エルメスで使用される皮革のなかでもシリーズが多く人気も高い、牛革素材の『トゴ』の例を見てみましょう。
表面に型押し模様の加工が施されているトゴは、傷がつきにくく、適度に柔らかい手触りを持っているのが特徴です。
本物のトゴの表面の溝は彫りが深く細かく入っていますが、偽物エルメスは表面の溝の彫りが浅く、手触りにも若干ゴワつきがあると感じるかもしれません。
角の縫い目
作業工程の多くを手作業でおこなっているエルメスのレザー製品は、角の縫い目にも職人仕事の巧みさが表れています。
特に前面と側面を縫い合わせた角の部分には、3針から4針程度の返し縫いがされているのを見つけることができるでしょう。この部分には、手縫いならではのしっかりと縫い合わされた食い込みが見て取れます。
一方で偽物エルメスには、返し縫い部分こそミシン縫いでコピーしているものの、エルメスの職人が施すような巧妙な手縫い仕事の跡は見られません。
皮に埋め込まれた鋲
上でもエルメスのバッグ底面に付いている鋲(座鋲)について触れましたが、クロア(ふたとなっているフラップの留め具)の裏に埋め込まれた鋲にも注意してください。
クロアは背面から4隅に鋲が打ち込まれて革と接続されています。留め具表面の金属部分は打ち込んだ後に丁寧に切断され、断面の仕上がりもきれいです。
そしてクロアの裏側の革との接続部分を見ると、鋲の埋め込み具合で本物かどうかが分かるでしょう。本物なら出っ張っている鋲で傷をつけることがないよう、しっかりと革にめり込んでいます。
一方で偽物には使用する側への配慮が足らず、鋲が表面に出ている場合があるのです。
偽物を買わないために気をつけること
正規価格より安く手に入るからといって、知らずに偽物のエルメスを購入するのは避けたいものです。こちらでは、エルメスの偽物を購入しないために気をつけたい3か条について解説します。
- 直営店や正規代理店で買う
- フリマサイトは注意
- 価格が安すぎる場合は要注意
直営店や正規代理店で買う
バーキンやケリーといった看板モデルである場合、在庫が少ないために正規店でも購入までに1年から2年待つことも珍しくないのがエルメスです。
人気のあるデザインや素材、カラーならなおさらのことその傾向が強いでしょう。とりわけ入手困難なエルメスの新作を手に入れたい場合は、直営店に予約をすることで購入が可能になります。
また直営店や正規代理店で買うと、購入後のメンテナンスやアフターサービスが付いてくる点も見逃せないポイントです。
フリマサイトは注意
近年はヤフオクやメルカリ、ラクマなどのフリマサイトで個人間売買をおこなうのが幅広い世代に浸透してきています。しかし顔の見えない相手とのネット上での取引は、時に詐欺のような悪徳な個人や業者にひっかかる危険性があることも留意してください。
先にも述べたように、エルメスには本物との見分けがつきにくいスーパーコピー品も存在し、それらを本物と偽って売りつけようとする事例もあります。
出品者が信用できる相手かどうか判断するためには、出品者・出店者の「名称」「住所」「電話番号など連絡先」がサイトに記載されているか確認してください。「特定商取引法」において、フリマサイトで上記の情報表示は義務付けられています。
価格が安すぎる場合は要注意
高品質素材を使用し、手間をかけて作られているエルメスの製品は、その分販売価格も高くなるのは当然のことといえるかもしれません。
エルメスのコピー品は細部の作りこみで偽物と分かる場合もありますが、実物を確認できないネット上での購入の際には、価格で判断するのも手です。
エルメス製品の販売価格があまりにも安すぎる場合は、偽物を疑ってもよいでしょう。フリマサイトなどで出品者や出店者に不明な点が見られる場合は、取引をしないのが賢明です。
わからない時はプロに任せよう
コストや時間をかけて作られる精巧な偽物も多いエルメス。本記事では、知らないでエルメスの偽物を買わないためにどうすればいいのか、またエルメスの偽物チェックポイントについて解説しました。
しかしエルメスは偽物のグレードも年々アップしているため、こちらで紹介したチェックポイントだけでは本物との見極めが難しい場合もあるでしょう。
手元にあるエルメスが偽物かどうかわからないという場合は、目の肥えたプロの査定士に判断をお任せするのが得策かもしれません。