ブランド品には偽物が出回っていることもあり、気を付けていても買ってしまうことがあるでしょう。もし購入したブランド品が偽物だったら、どのように対応すればよいのでしょうか。
今回は、偽物のブランド品を買ってしまったときの対処法として、警察が偽物をどのように取り扱っているのか、警察のほかに相談できる方法などを詳しく解説します。
警察には相談するべき
ブランドの偽物を買ってしまったら、まずは警察に相談すべきです。警察では、偽物の取締りを強化しており、偽物を売ることを犯罪として取り扱っています。
以下の2つのポイントで、警察への相談について詳しく見ていきましょう。
- 偽物を「売る」のは犯罪である
- 警察は偽物への取締りを強化している
偽物を「売る」のは犯罪である
偽物のブランドを買ってしまったとして、売って手放せばよいと考えている方も多いのではないでしょうか。商標登録されているブランドの偽物を売るのは犯罪となるので売買してはいけません。
以下のような罪に問われる可能性があります。
偽物であることを知りながら販売すれば、商標権を直接侵害する行為に当たり、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方を科せられる(商標法78条)。相手に本物だと偽って販売すれば、詐欺罪になる(刑法246条)。詐欺罪の場合は、10年以下の懲役刑で、罰金刑はないから、より重い罪だ。
例え、買い手が付かなかったとしてもフリマアプリやネットオークションで出品するだけでも危険です。商標権の侵害と見なされれば、販売目的の所持として罪に問われてしまいます。
また、自分で使用するために購入・所持することにも注意が必要です。国内での購入したものは問題ない可能性が高いものの、海外からの持ち込みは禁止されています。もし偽物だと知らなくても、税関で処分することになることを覚えておきましょう。
警察は偽物への取締りを強化している
警察では、安全な暮らしを守るために、不正商品を追放する取り組みを強化しています。
千葉県警察のホームページでは、知的財産権と不正商品について、以下のように記載しているのであらかじめチェックしておきましょう。
知的財産権
商品に対する信頼のシンボルであるブランドや商標、知的創造活動の結果である音楽・映像、コンピュータソフトウェアなどの著作物等は、知的財産と呼ばれ、法律によって権利化しています。
不正商品
商標法、著作権法などに定められた知的財産権を侵害する次のような商品が不正商品で、製造することはもちろん、店舗やインターネットオークションで販売譲渡したり、販売のために持っていたりすることは法律違反になります。
・偽ブランド商品
有名ブランドのマーク、デザインなど本物に似せて作られた偽造商品
・海賊版商品(コピー商品)
映画のビデオ、DVD、音楽CD、コンピュータソフトウェオなどをコピーした商品
・偽キャラクター商品
漫画やアニメの登場人物を無断で使用した商品
出典:千葉県警察
【注意】即対応してくれないケースも
警察に相談するべきと解説しましたが、場合によっては即対応してくれないケースもあるので注意が必要です。
警察に相談する前に、2つの注意点をおさえておきましょう。
- 個人で返品交渉するよう説明されている
- 海外の場合取り締まれない
個人で返品交渉するよう説明されている
警視庁の相談窓口に寄せられた相談例として、
「インターネット・オークションにブランド名を掲げて商品が出品されていたので落札したが、送付されてきたものは偽物であった。返品を要求したが応じてくれない。」
「インターネット・オークションで本、ソフトウエア、CD等を落札したが、違法にコピーされたものが送付されてきた。」
といった相談に対する回答が公開されています。被害に遭ったときの対処法として、以下のように回答しています。
返品の交渉
- メール、電話(自宅の電話)等のあらゆる手段で連絡を取り、返品、代金の返還、正規品との交換等を督促してください。
・やりとりしたメール、オークションページ、代金の振込みの控え等の証拠を保管しておいてください。返品に応じない場合
- オークション事業者、消費生活センター、弁護士などに相談してください。
- 詐欺などの被害を受けた場合には、最寄りの警察署又は都道府県警察サイバー犯罪相談窓口に相談してください。
出典:警視庁
消費者自身で返品交渉するように説明されているので、まずは自分で対応する必要があります。返品に応じなかった場合に、警察や事業者、消費生活センターなどに相談するという流れです。
海外の場合取り締まれない
ブランド品を購入する方法として、通販サイトを利用したり、海外で購入したりする方法があります。
これらの方法で購入したブランド品が偽物だった場合、通販サイトが海外で運営されていたり、店舗が海外にあったりすると、日本の法律では取り締まることができません。
違法性は間違いないものの、海外の場合はすぐに対応することが難しいのです。
相談できるのは警察だけじゃない
偽物を購入してしまったときに相談ができるのは、警察だけではありません。警察への相談と合わせて、適切な方法で問い合わせを行いましょう。
主な相談方法は、以下の3つです。
- 販売サイトのお問い合わせ
- 消費者センター
- 弁護士
販売サイトのお問い合わせ
フリマアプリやネットオークションなどで偽物を買ってしまったら、販売サイトの運営元に問い合わせを行いましょう。
メルカリの場合は、偽ブランド品に対して以下のような取り組みを行っています。
万が一、届いた商品が偽ブランド品の可能性がある場合には、お気軽にお問い合わせをお願いします。 弊社の基準に基づき調査を行い、補償条件に合致した場合には商品代金を補償しております。
出典:メルカリ
問い合わせした偽ブランド品を再度審査した上で、条件に合った場合は補償を受けられます。
ヤフオクの場合の対処は、以下の通りです。
「落札後にトラブルにあってしまった」を参考に出品者への連絡や手続きをご検討ください。
取引中のお困りごとに応じて、カスタマーサポートに返金申請ができる場合があります。詳細は「ヤフオク! 商品トラブル、困った時の対処法教えます!」をご覧ください。
また、匿名配送(ヤフネコ!パック、ゆうパック・ゆうパケット(おてがる版))の場合は、商品満足サポートの利用もご検討ください。
出典:ヤフオク
出品者との相談が上手く進まなかった場合には、カスタマサポートへの返金申請や問い合わせフォームからの相談が可能です。
消費者センター
もしも偽物のトラブルに遭ってしまったら、消費者センターの消費者ホットライン(電話番号:188)で、身近な消費生活相談窓口に案内してくれます。
消費者センターに相談することによって、返金対応やトラブルの対処法などをアドバイスしてもらえるので、まずは気軽に相談してみましょう。
弁護士
トラブルを解決するために費用はかかりますが、弁護士に依頼するのも方法のひとつです。弁護士が偽物であることを証明するために、丁寧かつ確実に対応を行い、返金などを勝ち取れるでしょう。
弁護士への相談は、警察も推奨している方法です。費用面を考慮して、弁護士への依頼を検討してみましょう。
返品に応じない場合
・オークション事業者、消費生活センター、弁護士などに相談してください。
・詐欺などの被害を受けた場合には、最寄りの警察署又は都道府県警察サイバー犯罪相談窓口に相談してください。
出典:警視庁
警察は気軽に頼っても大丈夫
ブランドの偽物については、警察が取り締まりを強化しているので、自分だけで解決しようとせずに気軽に相談することが大切です。
ただ、海外の場合に取り締まれないこと、まずは消費者自らが返金交渉することといった要因から、即対応されないケースもあります。
警察以外にも、販売サイトの運営元や消費者センター、弁護士などにも相談できるので、もしトラブルに遭ったときは自分に合った方法で問い合わせを行いましょう。